世界で一番好きな人
言ってしまってからハッとするが、もう遅い。



「…先生、呼んでくる」



逃げるように駆け足でその場を去る。


これ以上、二人を見ていられなかった。



「い…っ」



ふと、右手がずきっと痛み、思わず立ち止まる。


何も考えずに走っていたから、人気のない場所まで来てしまっていた。



「あ、ガラス…」



手の甲を見ると、小さなガラスが刺さっていて血が流れていた。


さっき顔を庇った時に刺さったんだ…。
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