世界で一番好きな人
「そんなのいつもの強がりよ…!」



ふと、休憩室から二人の話し声が聞こえてきてそっと覗くと、村井先生が両手で顔を覆って泣き崩れていた。


そのそばでは、千瑛が困ったように先生の肩に手を置こうか迷ってから、そのままその手をぐっと握りしめていた。



…本当は、抱きしめたいんじゃないのかな。そう思ってしまう私はやっぱり醜い。



「大丈夫だから、もう泣くなよ…」



村井先生は自分の前では絶対に泣かないと千春さんは言っていた。


だけど、千瑛の前では泣くんだな…。



二人に気づかれないように、千春さんの病室に行く。



「…あ、茉莉花ちゃん。来てくれたんだ」


「こんにちは!」
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