世界で一番好きな人
パッと笑顔を作るが、少し引きつってしまった。


…きっと千春さんも気づいたんだろうな。私を見つめる目が優しく細められた。



「千瑛と梓は飲み物買いに行ってるよ。あ、ごめんね、ちょっと起きるのしんどくて、寝たままなんだけど…」


「全然大丈夫です!そのままで!」



少し沈黙が流れてしまい、気まずさを紛らわすためにもベッドの近くの椅子に腰掛ける。



「…千瑛と喧嘩でもした?」


「…え?」


「ここに入ってきてから無理して笑ってるでしょ?いつも元気な茉莉花ちゃんが落ち込むってことは、千瑛絡みかなーって思って」



千春さんには全部わかってしまうみたいだ。



「…喧嘩、ってわけじゃないんですけど…私が悪いんです。小さなことをいつまでも気にしちゃって、性格悪いことばっかり考えちゃう。千瑛のこと好きになってから、どんどん自分が醜くなってくみたいで、嫌なんです…」


「そっかあ…。でも、性格が悪いっていうなら、俺も負けてないかな」
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