世界で一番好きな人
そして、茶色の封筒を取り出した。



「もしも、俺に何かがあった時は、これを梓に渡して欲しいんだ。茉莉花ちゃんにこんなこと頼むなんてどうかしてると思うんだけど、自分じゃ渡してあげられないから」


「これ…」



表紙には、“梓へ”と村井先生宛の名前が書かれていた。



「本当は何か、なんてないことを願っているけど、万が一のためにね。頼めるかな?」


「…はい。でも、私は千春さんが元気になるって信じてます。この手紙だって、いつかちゃんとお返しします」


「…うん。そうなるといいな」



だけど、千春さんの優しい笑顔を見たのは、その日が最後だった。





「あ、千瑛と村井先生…」



千春さんのお葬式は、身内と村井先生だけだったため、私は近くの公園で待っていた。
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