世界で一番好きな人

「私は千春といられればそれでよかったのに…っ。いつから…っ、気持ちがこんなにすれ違ってたんだろ…っ」


「梓、落ち着け！頼むから、自分を傷つけないでくれ…」



地面をきつく握りしめていた先生の指からは、赤い血が流れ出ている。


先生の泣き声は、静かな公園に悲しく響いていた。


＊


「ねえ、茉莉花たち大丈夫？最近クラスの間ですごい噂になってるんだよ。いつも元気な二人がずっと死んだように毎日を過ごしてるから。もしかして別れたんじゃないかって、何も知らない人達が勝手なことも言い出してる」


「…大丈夫だよ」



心配してくれる瑚子に、曖昧な笑顔しか返してあげられなかった。


私たちは千春さんがこの世に残した最後の手紙を見たあの日から、変わってしまった。



村井先生はもうずっと学校を休んでいる。


きっとそれを千瑛は誰よりも心配している。…だけど、そばにいてあげることもできない。