世界で一番好きな人
それは、私が千瑛を自由にさせてあげられないから。



こんなことになってしまって、手紙を渡してしまった私にも少し責任がある。


今、先生に寄り添ってあげられるのは千瑛しかいないことだってわかっている。


それでも私は汚いから、千春さんみたいに好きな人と別れたりなんてできなかった。



千春さんは、どうしてあんなことを書いたんだろう…。本心じゃないはずなのに、どうして…。



「茉莉花」



鞄を持った千瑛が目の前まで来て、もう放課後になっていたことにやっと気づく。



「帰ろ」



千瑛と帰るのは久しぶりだった。


なんとなく二人でいることが減って、私はずっと瑚子と帰るかすぐにバイトに行くかだったから。
< 89 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop