世界で一番好きな人
「ちょっと寄りたいとこあるんだけどさ、いい?」


「え?うん、いいけど…」



千瑛に連れてこられたのは、一度一緒に来たことがある私の家の近くの公園だった。


もう十二月で随分と冷えるせいか、公園で遊んでいる子どもは誰一人いなく、千瑛と二人きりでベンチに腰掛ける。



「なんかこうして話すの久しぶりな気がするな」


「…そうだね」


「あ、そうだ。茉莉花に渡したいもんがあんだ」



千瑛が鞄から取り出したのは、赤いリボンのついた細長い箱だった。



「今日、クリスマスだろ?茉莉花楽しみにしてたじゃん。この前高いピアスもらったし、クリスマスはいいものやろうと思って俺も内緒で短期バイトやってたんだ。気づかなかったろ?」


「え…クリスマス…。私、何も用意してない…」
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