世界で一番好きな人
本当は全部、気づいていた。気づいてて知らないふりをした。



「…今までありがとう。大好きだったよ」


「…茉莉花!」



溢れる涙を見られる前に、走って公園を飛び出す。



どこで間違っていたんだろう。


私が最初から千瑛を好きになんてならなければ、こんなに辛くならなくてすんだのかな…?


私と付き合わなければ、千瑛はもっと自分の気持ちに正直になれてた…?



–––––パァーーーー!!



突然クラクションの音が耳をつんざき、目の前に大きなトラックが現れた。


ハッと我に返ると同時に、ぐいっと腕を引かれ頭に衝撃が。



一瞬の出来事に、何が起きたのかわからないまま意識は遠のいていった。
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