ユーとリーのほのぼの日記
第1話 追いかけっこ
東の空にお日様が昇ってきました。
ユーとリーはまだまだプリンハウスの中で眠っています。
ユーはやんちゃな柴犬の女の子、リーは引っ込み思案な三毛猫の女の子です。
ユーたちを飼っているのはマッサージをしている何処にでも居そうなおじさんですが、、、。
このプリンハウスは一軒家の裏庭、裏木戸の脇に置いてあります。
朝になるとおじさんがハウスの前に餌と水を置いてくれます。 ガサガサという音で二匹は目を覚ますんです。
「リー、リー、朝だよ。 起きなよ。」 「もう朝なの? もうちょっと寝ていたいよ。」
「何言ってんの。 ほら、おじさんが食事を置いて行ってくれてるじゃない。 食べようよ。」 「うーーーーーん。」
ユーは寝ぼけているリーをほっといて朝食を食べ始めます。
「美味しそうだなあ。」 ハウスの中でゴロゴロしながらリーはユーを見詰めています。
「だったらおいでよ。 リーの分も食べちゃうぞーーーーー。」 「やだやだ。 置いといて。」
リーはやっと目を覚ましてハウスから出てきました。
「あ、花が咲いてる。」 「え? 何処によ?」
「ほらほら、あそこ。」 リーが指差すのは裏庭の外れのほう。
よく見るとタンポポが小さな花を咲かせていました。 そう、今は春。
雪も解けて暖かくなってきたところ。 それまではまだプリンハウスも家の中に入れてもらってたんですよ。
「今日は何をしようかなあ?」 「そうだねえ、、、。 散歩するにはまだまだ早いもんねえ。」
ユーは通りを眺めながら思いを巡らせているようです。 お日様はだいぶ昇ってきました。
通りを歩いていく人も増えてきました。 子供たちもたくさん居ます。
「可愛いなあ。 見てよ 女の子だよ。」 「うん。 分かってる。」
「なあんだ、、、面白くないなあ。」 「リーが見付ける物は既に私も見てるから。」
「つまんないの。」 リーはまたまたハウスの中へ引っ込んでしまいました。
リーがいじけてしまうとなかなか出てきません。 ユーはそんなリーを誘い出す方法を考えました。
(そうだ、、、追いかけっこをしよう。) 思い付いたユーは作戦を練っています。
その間にリーはまた寝てしまいました。
どれくらい時間が経ったのでしょうか。 ユーはニヤニヤしながらリーを起こしに来ました。
「なあに?」 「今からさあ、追いかけっこをしない?」
「追いかけっこ?」 「そうだよ。 そしたらさあ、夜ご飯も美味しくなるんじゃないかなあ?」
リーはいつもの夕食を思い出しました。 (そうか、、、追いかけっこをすれば夜ご飯が美味しくなるんだ。)
「じゃあ、行くよ。 まずはさあ、どっちが追いかけるかじゃんけんをしよう。」 「はーい。」
空には白い雲が気持ち良さそうに泳いでいます。 そして小鳥たちが歌っています。
ユーとリーは向かい合いました。 「じゃんけんポン!」
「やったあ。 私の勝ちね?」 拳を振り上げたリーは言いました。
「じゃあさあ、ここで10数えるからねえ。」 ユーは壁のほうを向いて数え始めます。
その間にリーはそーーーーーっとハウスを出ていきました。
「さてと、、、。 探しに行くかな。」 ハウスを出たユーは庭を見回してみた。
そんなに広くない庭、、、。 生まれた時から走り回っていた庭。
花がいっぱい植えてあっていつもいい匂いが漂っている庭。 ぐるりと見まわしたユーは外へ出てみました。
けれどリーの姿は何処にも在りません。 「たぶん、、、あそこ。」
少し行くと果物屋が在ります。 その辺りでリーはいつも日向ぼっこをしているのです。
けれど、今日はそこにも居ません。 「おかしいなあ。 何処に行ったんだろう?」
店の裏に回ってみますが、そこにもリーの姿は有りません。 「もしかして、、、?」
果物屋から少し歩くと湧き水が有ります。 そこかも?
ユーは走りながら湧き水の辺りを眺めるのですが、そこにもリーは居ません。 「あ、、、。」
そう思って猫の影を追いかけてみましたが、、、。 どうやら違うようです。
魚屋の脇に入っていきました。 「なんだ、違うのか。」
ユーはまたまた通りを走ります。 どれくらい走ったのでしょう?
疲れてしまったユーは木の下で背伸びをしました。 「なんか犬が居るぞ。」
何処からか声が聞こえます。 振り向くと男の子が立っていました。
その男の子がユーに手を伸ばしてきたので怖くなったユーは一目散に逃げていきました。
そして通りを一周して帰ってくるとリーは呑気な顔で昼寝をしていました。 「何処に行ってたのよ? 探したのに見付からなかったじゃない。」
「え? ずっと近くに居たんだけど、、、。」 「嘘だあ。 何処にも居なかったじゃない。」
「ユーさあ、道路しか見てなかったでしょう?」 「うん。」
「私ねえ、塀の上に居たのよ。」 「えーーーーーーーーーーー?」
あんまり驚いたものだからユーは転んでしまいました。 「いてててて、、、。」
「驚き過ぎだって ユー。」 「だってだってだって、、、。」
そう、リーは庭を出てからずっと塀の上を歩いていたんです。 ユーが通り過ぎたのを見てから地面に下りたのでした。
「今日は私の負けねえ。 明日こそ勝ってやるからね。」
翌日もユーはジリジリしながらリーが目を覚ますのを待っています。 もうお日様は昇ってきていて小鳥たちが歌っています。
「リー、リー、朝だよ。」 何度も声を掛けて目を覚ましたリーに朝食を、、、。 「えー? もう朝なの?」
「そうだよ。 さっきから何回起こしたと思ってるの?」 「だってだってまだ眠いんだもん。」
「寝過ぎだってば。」 「寝たいもん。 しょうがないでしょう。」
「昨日の続きをやろうよ。」 「続き?」
「そうそう。 今度はリーが追いかける番だよ。」 「しょうがないなあ。」
そこでリーはハウスの中で目を閉じました。 「10数えるからねえ。」
ユーは自信たっぷりに庭を出ていきました。 「さてと、、、何処まで行こうかなあ?」
リーはというと数えながらお腹が空いていることに気付きました。 「まずはご飯ご飯。」
ハウスの前には入れ物が置いてあって二匹分の餌と水が置いてあります。 ユーの入れ物は既に空っぽ。
餌を食べながら遠くまで走っていくユーを見詰めています。 「何処まで行くんだろう?」
そう思っていたら姿が見えなくなりました。 「そろそろ行くかな。」
リーは庭を出ると隣の家の塀にヒョイッと飛び上がりました。 「ここから探検だ。」
そろそろと塀の上をリーは歩いていきます。 途中で屋根に上ったり地面に下りたりしながらユーが走って行った方向へ、、、。
しばらく行くと時々立ち寄る果物屋が見えてきました。 その看板の裏にユーが隠れているのが見えます。
「ここで見付けても面白くないなあ。」 そう思ったリーはわざと横道にそれました。
するとそこに何処かで見たような猫が、、、。 (あれは隣のキャンピーじゃないか。 何をしてるんだろう?)
キャンピーはシャムネコです。 自分とは合わないよなあ。
リーは何気なくキャンピーの横を擦り抜けました。 「お、リーじゃないか。 何をしてるんだ?」
キャンピーが思いがけなく声を掛けたものだからリーは慌ててまた塀に飛び上がりました。
「ここで声なんか出したらユーにばれちゃうじゃないよ。 バカだなあ。」 ドキドキしながら塀の上を歩いているリーをキャンピーは不思議そうな目で見送っていました。
ユーとリーはまだまだプリンハウスの中で眠っています。
ユーはやんちゃな柴犬の女の子、リーは引っ込み思案な三毛猫の女の子です。
ユーたちを飼っているのはマッサージをしている何処にでも居そうなおじさんですが、、、。
このプリンハウスは一軒家の裏庭、裏木戸の脇に置いてあります。
朝になるとおじさんがハウスの前に餌と水を置いてくれます。 ガサガサという音で二匹は目を覚ますんです。
「リー、リー、朝だよ。 起きなよ。」 「もう朝なの? もうちょっと寝ていたいよ。」
「何言ってんの。 ほら、おじさんが食事を置いて行ってくれてるじゃない。 食べようよ。」 「うーーーーーん。」
ユーは寝ぼけているリーをほっといて朝食を食べ始めます。
「美味しそうだなあ。」 ハウスの中でゴロゴロしながらリーはユーを見詰めています。
「だったらおいでよ。 リーの分も食べちゃうぞーーーーー。」 「やだやだ。 置いといて。」
リーはやっと目を覚ましてハウスから出てきました。
「あ、花が咲いてる。」 「え? 何処によ?」
「ほらほら、あそこ。」 リーが指差すのは裏庭の外れのほう。
よく見るとタンポポが小さな花を咲かせていました。 そう、今は春。
雪も解けて暖かくなってきたところ。 それまではまだプリンハウスも家の中に入れてもらってたんですよ。
「今日は何をしようかなあ?」 「そうだねえ、、、。 散歩するにはまだまだ早いもんねえ。」
ユーは通りを眺めながら思いを巡らせているようです。 お日様はだいぶ昇ってきました。
通りを歩いていく人も増えてきました。 子供たちもたくさん居ます。
「可愛いなあ。 見てよ 女の子だよ。」 「うん。 分かってる。」
「なあんだ、、、面白くないなあ。」 「リーが見付ける物は既に私も見てるから。」
「つまんないの。」 リーはまたまたハウスの中へ引っ込んでしまいました。
リーがいじけてしまうとなかなか出てきません。 ユーはそんなリーを誘い出す方法を考えました。
(そうだ、、、追いかけっこをしよう。) 思い付いたユーは作戦を練っています。
その間にリーはまた寝てしまいました。
どれくらい時間が経ったのでしょうか。 ユーはニヤニヤしながらリーを起こしに来ました。
「なあに?」 「今からさあ、追いかけっこをしない?」
「追いかけっこ?」 「そうだよ。 そしたらさあ、夜ご飯も美味しくなるんじゃないかなあ?」
リーはいつもの夕食を思い出しました。 (そうか、、、追いかけっこをすれば夜ご飯が美味しくなるんだ。)
「じゃあ、行くよ。 まずはさあ、どっちが追いかけるかじゃんけんをしよう。」 「はーい。」
空には白い雲が気持ち良さそうに泳いでいます。 そして小鳥たちが歌っています。
ユーとリーは向かい合いました。 「じゃんけんポン!」
「やったあ。 私の勝ちね?」 拳を振り上げたリーは言いました。
「じゃあさあ、ここで10数えるからねえ。」 ユーは壁のほうを向いて数え始めます。
その間にリーはそーーーーーっとハウスを出ていきました。
「さてと、、、。 探しに行くかな。」 ハウスを出たユーは庭を見回してみた。
そんなに広くない庭、、、。 生まれた時から走り回っていた庭。
花がいっぱい植えてあっていつもいい匂いが漂っている庭。 ぐるりと見まわしたユーは外へ出てみました。
けれどリーの姿は何処にも在りません。 「たぶん、、、あそこ。」
少し行くと果物屋が在ります。 その辺りでリーはいつも日向ぼっこをしているのです。
けれど、今日はそこにも居ません。 「おかしいなあ。 何処に行ったんだろう?」
店の裏に回ってみますが、そこにもリーの姿は有りません。 「もしかして、、、?」
果物屋から少し歩くと湧き水が有ります。 そこかも?
ユーは走りながら湧き水の辺りを眺めるのですが、そこにもリーは居ません。 「あ、、、。」
そう思って猫の影を追いかけてみましたが、、、。 どうやら違うようです。
魚屋の脇に入っていきました。 「なんだ、違うのか。」
ユーはまたまた通りを走ります。 どれくらい走ったのでしょう?
疲れてしまったユーは木の下で背伸びをしました。 「なんか犬が居るぞ。」
何処からか声が聞こえます。 振り向くと男の子が立っていました。
その男の子がユーに手を伸ばしてきたので怖くなったユーは一目散に逃げていきました。
そして通りを一周して帰ってくるとリーは呑気な顔で昼寝をしていました。 「何処に行ってたのよ? 探したのに見付からなかったじゃない。」
「え? ずっと近くに居たんだけど、、、。」 「嘘だあ。 何処にも居なかったじゃない。」
「ユーさあ、道路しか見てなかったでしょう?」 「うん。」
「私ねえ、塀の上に居たのよ。」 「えーーーーーーーーーーー?」
あんまり驚いたものだからユーは転んでしまいました。 「いてててて、、、。」
「驚き過ぎだって ユー。」 「だってだってだって、、、。」
そう、リーは庭を出てからずっと塀の上を歩いていたんです。 ユーが通り過ぎたのを見てから地面に下りたのでした。
「今日は私の負けねえ。 明日こそ勝ってやるからね。」
翌日もユーはジリジリしながらリーが目を覚ますのを待っています。 もうお日様は昇ってきていて小鳥たちが歌っています。
「リー、リー、朝だよ。」 何度も声を掛けて目を覚ましたリーに朝食を、、、。 「えー? もう朝なの?」
「そうだよ。 さっきから何回起こしたと思ってるの?」 「だってだってまだ眠いんだもん。」
「寝過ぎだってば。」 「寝たいもん。 しょうがないでしょう。」
「昨日の続きをやろうよ。」 「続き?」
「そうそう。 今度はリーが追いかける番だよ。」 「しょうがないなあ。」
そこでリーはハウスの中で目を閉じました。 「10数えるからねえ。」
ユーは自信たっぷりに庭を出ていきました。 「さてと、、、何処まで行こうかなあ?」
リーはというと数えながらお腹が空いていることに気付きました。 「まずはご飯ご飯。」
ハウスの前には入れ物が置いてあって二匹分の餌と水が置いてあります。 ユーの入れ物は既に空っぽ。
餌を食べながら遠くまで走っていくユーを見詰めています。 「何処まで行くんだろう?」
そう思っていたら姿が見えなくなりました。 「そろそろ行くかな。」
リーは庭を出ると隣の家の塀にヒョイッと飛び上がりました。 「ここから探検だ。」
そろそろと塀の上をリーは歩いていきます。 途中で屋根に上ったり地面に下りたりしながらユーが走って行った方向へ、、、。
しばらく行くと時々立ち寄る果物屋が見えてきました。 その看板の裏にユーが隠れているのが見えます。
「ここで見付けても面白くないなあ。」 そう思ったリーはわざと横道にそれました。
するとそこに何処かで見たような猫が、、、。 (あれは隣のキャンピーじゃないか。 何をしてるんだろう?)
キャンピーはシャムネコです。 自分とは合わないよなあ。
リーは何気なくキャンピーの横を擦り抜けました。 「お、リーじゃないか。 何をしてるんだ?」
キャンピーが思いがけなく声を掛けたものだからリーは慌ててまた塀に飛び上がりました。
「ここで声なんか出したらユーにばれちゃうじゃないよ。 バカだなあ。」 ドキドキしながら塀の上を歩いているリーをキャンピーは不思議そうな目で見送っていました。
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