帝国支配目前の財閥御曹司が「君を落とす」と言って、敵方の私を手放してくれません
新しい生活~芙優side~
その日を境に、大我は早朝に会社に出勤し、深夜になって帰宅する日々が始まった。
私のほうは、週末のたびにキッチンカーを出し、野外イベントやショッピングモールの広場で鯛焼きを売るようになったけど、平日は忙しい彼をサポートするため、家事をこなし、夜食を準備して大我の帰宅を待っている。
ある日の明け方、まだ部屋が暗いうちに大我に揺り起こされて目を覚ました。
「今何時?」
寝ぼけまなこで尋ねた。
「3時。今から出かけるよ」
「今から?」
一気に目が覚めた私は、驚きとわくわくで胸を高鳴らせた。
ポロシャツとショートパンツに着替え、マンションの地下駐車場に下りた。大我が手元のキーを押すと、キッチンカーの隣の、コンバーチブルのクーペが、解錠する音を立て、ヘッドライトで瞬きをした。
「この車、かっこいいなと思って見てたけど、大我さんのだったんだ…」
「ここにある10台のうち5台は俺の」
「何気なくすごいこと言うのね…」
圧倒される私を大我が助手席にエスコートしてくれた。
朝日が昇り始める空を見ながら高速を走り、海に出た。
昇り始めた太陽が、キラキラと海面を輝かせている。オレンジ色に光る空が眩しい。
「綺麗…」
「海辺に別荘があるんだ」
「大我さん…今日仕事は?」
「昨日、一段落したんだ。明日からはまた忙しいけど、今日は芙優とずっと一緒にいたい」
海沿いの道を走り続け、南フランス風の大きな白い建物の前に止まった。
大我が手元のコントローラーを操作すると、しゃれたデザインの鉄格子が上がり、目の前に現れた広いガレージの中に車を滑り入れた。
白亜の階段を上り、両開きの木製玄関ドアを開くと、長くて広い廊下の先にリビングがあり、その大きな窓の向こうに一面の海が広がっている。
「素敵すぎる…」
窓から見下ろした先の岩場には、海を独り占めできる広いプール付きのテラスがあり、そこまで階段を下りて行った。
見渡す限りの海の風景に、体が吸い込まれそうだ。
大我と私は、しばらく海を眺めた。潮風が、時折胸を掠める後ろめたさや寂しさを、吹き飛ばしてくれるような心地がした。
「俺、早く起きすぎて眠いわ…芙優、ベッドで休もう」
そう言って手を引かれ、二階の寝室へ上がった。
キングサイズのベッドの向こうにはやはり、海の景色が広がっている。カーテンはなく、視界を遮るものは一つもないけど、水平線まで一望できる窓からは誰かに見られる心配も皆無だ。
大我の腕に包まれて、そのままが抱き上げられてベッドに運ばれる。キスを落としながらベッドにそっと寝かされた。
大我に見下ろされて胸が早鐘を打つ。
私、彼にこうしてほしかったんだ。そう気が付いて頬が赤くなった。
「大我さん、疲れてるんじゃないの?」
「芙優を抱けば、疲れなんか吹き飛ぶ」
「本当?」
「本当だよ。芙優を愛してるってだけで、どれだけ俺が支えられてるか…」
今、愛してるって言った?めまいがして天井が回りだす。
「芙優、ずっとこうしたかった」
「大我さん…」
「俺、芙優が家で待っててくれるって思っただけで、ほんとに頑張れるんだ」
嬉しい。けど同時に、商店街のシャッターが下りて寂しい風が吹き抜ける幻影が脳裏によぎる。察したように大我が言った。
「商店街のこと、心配?」
曖昧にうなずくと、なだめるように額にキスを落として囁いた。
「大丈夫だから。安心して」
金に物を言わせると言う有名な鳳条財閥。いずれは商店街のみんなも大金を目の前に突き付けられ、商店街を去っていくことになるのだろう。私も結局はお金の力で、大我に守ってもらってしまっている。そんな自分が後ろめたい。
けど今だけは、いろんなことを忘れちゃうくらいに思い切り抱いて欲しい。
今だけは、純粋に、大好きな大我だけのものになりたい。
手を取られ、指の間にキスされる。ヒクンと体が跳ねて頬が熱くなった。
「こんなところも弱いんだね」
「大我さんにされると、こうなっちゃうの」
「可愛い…もう芙優の体は完全に俺のものだ。絶対に他の男には触らせない」
大我の手にかかると、悩み事までもが溶けてなくなってしまうように、全身とろとろにとかされてしまう。
大我の温かい手に愛撫され、そのぬくもりに心がほどけていくのを感じた。
この先乗り越えなければならないことがいくつもある。
でも、いまだけはこの腕の中で、幸せを感じていたい。
大我の手が滑るようにシャツをめくり上げた。あらわになったふくらみを優しくなぞる。
「あんっ…」
大我の指先が触れるたびに、唇から甘い吐息が漏れ出てしまう。その吐息を掬い取るように大我の唇が近づいて唇を塞いだ。
甘いキスに溶かされながら、服を脱がされる。服を脱いだ大我はあおむけの私を組み敷き、上から見下ろして微笑んだ。
「いいから何もかも、俺に任せて…」
白いシーツの上でもつれ合い、体を絡ませ、ひとつになった。
大我が与えてくる絶え間ない快楽に溺れて、聞こえていた波音さえも遠くなる。
世界にまるで二人だけみたいな心地になって、大我の腕の中で私は、熔け落ちるように深く、意識を手放した。
私のほうは、週末のたびにキッチンカーを出し、野外イベントやショッピングモールの広場で鯛焼きを売るようになったけど、平日は忙しい彼をサポートするため、家事をこなし、夜食を準備して大我の帰宅を待っている。
ある日の明け方、まだ部屋が暗いうちに大我に揺り起こされて目を覚ました。
「今何時?」
寝ぼけまなこで尋ねた。
「3時。今から出かけるよ」
「今から?」
一気に目が覚めた私は、驚きとわくわくで胸を高鳴らせた。
ポロシャツとショートパンツに着替え、マンションの地下駐車場に下りた。大我が手元のキーを押すと、キッチンカーの隣の、コンバーチブルのクーペが、解錠する音を立て、ヘッドライトで瞬きをした。
「この車、かっこいいなと思って見てたけど、大我さんのだったんだ…」
「ここにある10台のうち5台は俺の」
「何気なくすごいこと言うのね…」
圧倒される私を大我が助手席にエスコートしてくれた。
朝日が昇り始める空を見ながら高速を走り、海に出た。
昇り始めた太陽が、キラキラと海面を輝かせている。オレンジ色に光る空が眩しい。
「綺麗…」
「海辺に別荘があるんだ」
「大我さん…今日仕事は?」
「昨日、一段落したんだ。明日からはまた忙しいけど、今日は芙優とずっと一緒にいたい」
海沿いの道を走り続け、南フランス風の大きな白い建物の前に止まった。
大我が手元のコントローラーを操作すると、しゃれたデザインの鉄格子が上がり、目の前に現れた広いガレージの中に車を滑り入れた。
白亜の階段を上り、両開きの木製玄関ドアを開くと、長くて広い廊下の先にリビングがあり、その大きな窓の向こうに一面の海が広がっている。
「素敵すぎる…」
窓から見下ろした先の岩場には、海を独り占めできる広いプール付きのテラスがあり、そこまで階段を下りて行った。
見渡す限りの海の風景に、体が吸い込まれそうだ。
大我と私は、しばらく海を眺めた。潮風が、時折胸を掠める後ろめたさや寂しさを、吹き飛ばしてくれるような心地がした。
「俺、早く起きすぎて眠いわ…芙優、ベッドで休もう」
そう言って手を引かれ、二階の寝室へ上がった。
キングサイズのベッドの向こうにはやはり、海の景色が広がっている。カーテンはなく、視界を遮るものは一つもないけど、水平線まで一望できる窓からは誰かに見られる心配も皆無だ。
大我の腕に包まれて、そのままが抱き上げられてベッドに運ばれる。キスを落としながらベッドにそっと寝かされた。
大我に見下ろされて胸が早鐘を打つ。
私、彼にこうしてほしかったんだ。そう気が付いて頬が赤くなった。
「大我さん、疲れてるんじゃないの?」
「芙優を抱けば、疲れなんか吹き飛ぶ」
「本当?」
「本当だよ。芙優を愛してるってだけで、どれだけ俺が支えられてるか…」
今、愛してるって言った?めまいがして天井が回りだす。
「芙優、ずっとこうしたかった」
「大我さん…」
「俺、芙優が家で待っててくれるって思っただけで、ほんとに頑張れるんだ」
嬉しい。けど同時に、商店街のシャッターが下りて寂しい風が吹き抜ける幻影が脳裏によぎる。察したように大我が言った。
「商店街のこと、心配?」
曖昧にうなずくと、なだめるように額にキスを落として囁いた。
「大丈夫だから。安心して」
金に物を言わせると言う有名な鳳条財閥。いずれは商店街のみんなも大金を目の前に突き付けられ、商店街を去っていくことになるのだろう。私も結局はお金の力で、大我に守ってもらってしまっている。そんな自分が後ろめたい。
けど今だけは、いろんなことを忘れちゃうくらいに思い切り抱いて欲しい。
今だけは、純粋に、大好きな大我だけのものになりたい。
手を取られ、指の間にキスされる。ヒクンと体が跳ねて頬が熱くなった。
「こんなところも弱いんだね」
「大我さんにされると、こうなっちゃうの」
「可愛い…もう芙優の体は完全に俺のものだ。絶対に他の男には触らせない」
大我の手にかかると、悩み事までもが溶けてなくなってしまうように、全身とろとろにとかされてしまう。
大我の温かい手に愛撫され、そのぬくもりに心がほどけていくのを感じた。
この先乗り越えなければならないことがいくつもある。
でも、いまだけはこの腕の中で、幸せを感じていたい。
大我の手が滑るようにシャツをめくり上げた。あらわになったふくらみを優しくなぞる。
「あんっ…」
大我の指先が触れるたびに、唇から甘い吐息が漏れ出てしまう。その吐息を掬い取るように大我の唇が近づいて唇を塞いだ。
甘いキスに溶かされながら、服を脱がされる。服を脱いだ大我はあおむけの私を組み敷き、上から見下ろして微笑んだ。
「いいから何もかも、俺に任せて…」
白いシーツの上でもつれ合い、体を絡ませ、ひとつになった。
大我が与えてくる絶え間ない快楽に溺れて、聞こえていた波音さえも遠くなる。
世界にまるで二人だけみたいな心地になって、大我の腕の中で私は、熔け落ちるように深く、意識を手放した。