淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
☆☆☆

「おはようございます」
戸倉瑞樹が清楚系が好きなことはもうわかっていた。

だから最近の麻里奈の服装は『ロシアンヌ』の中でもおとなしい系統の服だった。
これなら仕事にも支障はでない。

「あぁ……」
戸倉瑞樹はチラリと麻里奈を見て、会釈だけをしてエレベーターへ向かう。

麻里奈の中には反応してくれた嬉しさ半分、ろくに返事をしてくれない悲しさ半分がせめぎ合う。
それでも勇気を出してふたりでエレベーターへ乗り込むと、いつものように沈黙の時間が訪れた。

戸倉瑞樹はジッとエレベーターの回数表示を見ていて、意識的に麻里奈を見ないようにしているのではないかと、勘ぐってしまいそうになる。

「そういえば」
麻里奈はもうすぐ一階についてしまうことが嫌で、どうにか口を開いた。

「そこの公園に野良猫がいるの、知ってますか?」
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