淫夢でも溺愛されたい！ 〜サキュバスは隣人にガチ恋する～

「相手がほしければ身体を使って攻めればいいだけでしょう？」
麻里奈の言葉に鈴子が左右に首を振った。

「できないよそんなこと。戸倉さんにむかってできるの？」
そう質問されてグッと返事に困ってしまった。

戸倉瑞樹を見かけた当初ならそれも簡単なことだったけれど、なぜか今はそんなことできないと頭が拒絶してしまう。
「いい？　麻里奈。戸倉さんは今までの相手と同じようにしてちゃダメなの。彼は麻里奈にとって特別な人になったんだから」

「特別な人……」
「そうだよ。だからこれから先は戸倉さんとの関係が壊れないように注意しなきゃいけないの。戸倉さんに嫌われるのは嫌でしょう？」

噛んで含めるように言う鈴子に麻里奈は何度もうなづいた。
戸倉瑞樹には全然相手にされていなかったけれど、ようやく笑顔をみせてくれるようになったんだ。