淫夢でも溺愛されたい！ 〜サキュバスは隣人にガチ恋する～

☆☆☆

現実の男にしか興味のない麻里奈だったが、アニメの感想を言うと正直とてもよかった。
香くんとカオルちゃん、幼馴染のふたりが長い年月をかけて両思いになっていく話だ。

ふたりの気持ちが交差する場面では胸がほんわり暖かくなって、すれ違う場面では胸がチクチクと傷んだ。
こんなに感情移入して恋愛作品に触れたことは今まで１度もない。

アニメを見終えた麻里奈はしばらくソファの上で放心状態になってしまったくらいだ。
「麻里奈が恋愛作品でそんなに感動してくれるなんて夢みたい！」

鈴子に抱きつかれて始めて自分が泣いていることに気がついた。
ハッピーエンドだったアニメへの嬉し涙だった。

同時に自分はこんなにも素敵なものをあざ笑い、見下すようにして生きてきたんだと気がついた。
みんな必死に恋愛して、自分の気持に正直になれないときもあって、そんな苦しかったり嬉しかったりする経験を積んできた。

「私ってなんてダメなやつなんだろう」