淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
だけどそれもほんのひとときだけだ。
いい景色、いい音楽、いい絵画を見て一瞬はサキュバスとしての血を忘れることができても、それは長くは続かない。

すぐに麻里奈はまた渇望するようになる。
それは人間に言わせると何日もろくに水分を取っていないのと同じ状況だった。

下手をすれば死んでしまうくらい苦しいけれど、麻里奈の感じている渇望で死ぬことはできない。
ただただ乾きを我慢することしかできない。

喉を掻き毟って発狂したくなるのをグッと我慢して、スカートの深いスリットから白い足を覗かせる。
誰でもいいから私を抱いて。

そんな言葉が今にも喉から出てきてしまいそうだ。
立ちんぼたちは見たことのない麻里奈をジロジロと見つめている。

好奇心の目だったり、客を取られてしまうかもしれないという敵視だったり色々だ。
だけど立ちんぼたちは誰も麻里奈に声をかけようとはしなかった。

麻里奈の圧倒的な色気に気おされて、遠くから見ているだけが精一杯だ。
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