淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
本棚の中には難しそうな専門書がつまっていて、その上に小さな一輪挿しの花瓶が置かれている。
飾られていたのは黄色くて小さな花だ。

いつだったか、戸倉瑞樹が摘んでいた野花で間違いなさそうだ。
「これ、こんなに丁寧に育ててるんだ」

そっと近づいて花を見つめる。
花はしおれること無くシャンッと背筋を伸ばしている。

「その花可愛いでしょう」
そう言われて振り向くと、戸倉瑞樹が紅茶をテーブルに置くところだった。

「とても可愛いですね」
ソファに戻りながらそう告げると、戸倉瑞樹は優しい笑顔を浮かべた。

野良猫に朝をやっているときのあの顔だ。
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