淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
心臓がドクドクと高鳴る。
こんなことを言っても無駄だとわかっている。

だけどこれは麻里奈にとって初恋だった。
ちゃんと気持ちを伝えておきたい。

「なんですか?」
戸倉瑞樹が驚いた様子で振り向いた。

そして顔を真っ赤にした麻里奈を前にして戸惑いの表情を浮かべる。
「あの私……こんなことを言っても迷惑なのはわかっています。でも、でも……」

それでも伝えたい。
初めての、この気持を。
「私、戸倉さんのことが好きです!!」

人生始めての告白だった。
25年間生きてきて、この言葉を必要としたことは今まで1度もなかった。

少し遅い初恋の、苦い味を麻里奈は味わっている。
戸倉瑞樹は戸惑いの表情を消すと、優しく麻里奈の手をほどいた。

「少し、ここで待っていてください」
そう言うと、部屋の中に入って行ったのだった。
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