淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
☆☆☆

麻里奈は壁に背中をつけてずるずると座り込んでしまった。
膝と膝の間に自分の顔をうずめて大きく息を吐き出す。

言ってしまった。
あんなことを言われても困らせるだけだとわかっていたのに。

それでも戸倉瑞樹がすぐに返事をしなかったのは、きっと麻里奈を傷つけないためだと思う。
「なにしてんの私」

落ち込んで涙が滲んでくる。
死んだ元カノ以上になれるわけがない。

戸倉瑞樹には淫夢を見せることだってできないのだから。
1人廊下に座り込んで涙を拭っていたところで、再び玄関ドアが開いて戸倉瑞樹が姿を見せた。

麻里奈は慌てて顔をあげる。
だけど脱力してしまって立ち上がることはできなかった。

「おまたせしました」
< 178 / 184 >

この作品をシェア

pagetop