淫夢でも溺愛されたい！ 〜サキュバスは隣人にガチ恋する～

できるだけ鮮明に、彼の匂いまで感じるほど頭の中に強く意識する。
その次には同じように想像の中に自分を登場させた。

想像の中で麻里奈と戸倉瑞樹は仲良く肩を並べて歩いている。
場所は駅前だ。

周りの景色もできるだけ鮮明に思い浮かべる。
時刻は夜９時くらいで、太陽はとっくに沈んでいる。

けれど駅前にはネオンが輝いていてとても明るく、ふたりが歩くのに苦労はしない。
灰色の歩道を抜けて更に歩いて行くと、そこからは人影が少なくなっていく。

麻里奈たちが向かっている先にあるのがラブホテル街だからだ。

車がギリギリ通れるくらいの幅の道を進んでいくと、派手な建物が左右に見え始める。
そこから出てくるカップルは誰とも視線を合わせないように、みんなうつむき加減になっている。