淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
麻里奈の中では、朝淫夢を見た戸倉瑞樹から食事やデートの誘いを受けるはずだった。
そして早ければ今夜にでもホテルへ行くつもりでいた。

それがすべて白紙になってしまっていたのだ。
なんの予定もなく真っ直ぐ帰宅するのは数カ月ぶりのことだった。

そのことに驚いたのはもちろん鈴子も同じだった。
「ただいまぁ」

そう言って玄関を入ると鈴子がバタバタと足音を立てて駆けつけていた。
その慌てっぷりを見て麻里奈が目を丸くする。

「どうした鈴子そんなに焦って」
「それはこっちのセリフでしょ? どうしたのこんなに早く帰ってきて。もしかして体調でも悪いの?」

鈴子は心配そうに眉を寄せて麻里奈の額に手を当ててくる。
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