淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
戸倉瑞樹は麻里奈との淫夢を見ていないから、全く意識していなかったのだ。
「そんなにお隣さんのことが好きなの?」

鈴子からの質問にまたしても麻里奈は驚きの表情を浮かべて「好き? そんなわけないでしょ」と、否定した。
顔は好きだけどただそれだけだ。

今まで誰かを好きになって恋愛するなんてそんな面倒くさいことしたことがなかった。
最終的に好きな相手とやることなんてひとつだけなんだから、最初からそこを目指してしまったほうがずっと効率的だった。

その方がより沢山の男性を知ることができる。
「だけどすごくショックを受けてるみたいだけど?」

「ショックだよ! だって私の力が通じないんだよ!?」
「それって普通のことだよ。淫夢を見せる力なんて誰も持ってないんだから」

そう言われてしまえば言い返すことができない。
つまり戸倉瑞樹に関してだけは力を使わずに一般的な誘い方をするしかないということだ。
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