淫夢でも溺愛されたい！ 〜サキュバスは隣人にガチ恋する～
エレベーターが来るまでになんとか会話らしい会話がしたかった。
「戸倉さんはぁ、ひとり暮らしですかぁ？」

その質問に戸倉瑞樹は一瞬麻里奈へ視線を向けて、それからそっぽを向いてしまった。
質問に関する返事もない。

あからさまに無視されたことに気がついて傷つくよりも先に憤りを感じた。
女性からこれほどアプローチされているというのに、それに乗ってこない男なんてただのヘタレだ。

それが麻里奈の考え方だった。
無視されたことに腹を立てた麻里奈は戸倉瑞樹を見つめるのをやめて、エレベーターのドアが開くのを待った。

この時間を有効活用させようと思っていたけれど、失敗だ。
そう思いながらふたりでエレベーターに乗り込んだ。

せっかくふたりきりの密室でもやはり甘い雰囲気になるようなことはなかった。
麻里奈は怒りを覚えつつもスカートのスリットから自慢の足をチラつかせてみたりしたけれど、やはり反応はなかった。
< 66 / 184 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop