淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
鈴子の服に感謝しながら更に会話をすすめる。
「いい天気だからベランダにお布団を干してきたんです」

もちろんそんなことはしてないけれど、平気で嘘をついた。
「そうですか。気持ちいいでしょうね」

その反応は好印象だ。
やっぱり、戸倉瑞樹は家庭敵な女性が好きとか、そういうタイプなのかもしれない。

麻里奈としてはやりにくい相手だけれど、嘘をついたってどうせバレることはない。
「昨日は友達の鈴子と一緒にクリームシチューを作ったんです。でも少し人参が硬かったんですよ」

「人参は火が通りにくいですからね」
もちろん、クリームシチューなんて作っていないけれど、麻里奈は嬉しげに笑う。

戸倉瑞樹もときどき麻里奈へ視線を向けるようになっていた。
これは大きな進歩だ。

ふたりでエレベーターに乗り込んで、麻里奈は戸倉瑞樹にすり寄るように近づいた。
ここで一気に距離を縮めたい。
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