淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
「だ、大丈夫……」
答えながらも後輩の言葉にグロッキー状態である。

嫌いな相手の指先が触れたら、嫌な気持ちになる。
今朝の戸倉瑞樹もそういう気持ちだったということか……。

今まで同性に嫌われたことは数しれず、異性に嫌われたことなんて1度もなかった。
少なくてもあんな嫌そうな顔で見られた経験はない。

戸倉瑞樹の今朝の顔を思い出すたびに胸の奥がチクチクと痛む。
どうしてこんなに痛むのか自分でもわからなくて、だけど止まることはない。

「ところで先輩。そろそろデートの予定とかないんですか?」
ここ数日麻里奈が真っ直ぐマンションへ戻っていることを知っている後輩が、茶化すように聞いてきた。

麻里奈のことだから、今日あたりにデートすると思っているんだろう。
だけど麻里奈はげっそりとやつれた表情で左右に首を振った。
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