淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
これには戸倉瑞樹も驚いてとっさに両手を差し出していた。
「ご、ごめんなさい」

戸倉瑞樹に抱きかかえられる形になった麻里奈は頬を赤らめて慌てて身を離した。
「大丈夫?」

ケガをしているかもしれない人をほっといて行けないのは優しさだった。
「はい、大丈夫です」

麻里奈は恥ずかしそうにうつむいて何度も頷く。
「これから仕事ですか? 行けそうですか?」

「はい、大丈夫です。今日は絶対に休めなくて……」
「じゃあ、エレベーターまで一緒に行きましょう」

昨日は指先が触れただけで嫌そうな顔をしていたけれど、今日は麻里奈を気遣って手を差し出してくれる。
そのギャップに面食らったけれど、単純に戸倉瑞樹は困っている人をほっておけないのだと気がついた。
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