最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
「昔、人間は魔物に対して無力でした。彼らの頑丈な身体を突き破るために、どんな魔物にも有効な爪や牙を持った、魔獣の研究を始めたのがことの始まりです。そうして、魔獣の力や特性を持った『半魔獣』の兵士を作り上げたのです。あなたが半悪魔体であるように、半魔獣体の人間が作られたのですよ」
「え、それマジ?」
「本当の話です。彼らは貴方とは違い、細胞単位で見れば、ほぼ人間ですので子も残せました。先祖返りで腕だけが獣であったり、獣の耳がついていた子が産まれることがあり、今では『獣人』と呼ばれています。彼らは高い戦闘能力を持った優秀な戦士として重宝され、幼少より『獣人部隊』に引き取られて訓練を受けるのです」

 彼らは獣人と呼び親しまれ、軍事機関の部隊で多く活躍しているのだと、スミラギは冷静な口調で語った。受け継いだ魔獣の種族性格が多少見られるが、仲間意識が強く、主人には絶対忠誠を誓う特性は好まれているらしい。

 半魔獣体である獣人は、魔物の血は流れていないが牙や爪や五感の特徴を受け継ぎ、半獣化の状態で産まれる。半悪魔とは違い、絶対に主人の敵にはならないという確証があるために、その存在が受け入れられているのだとか。
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