最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 新しい電流系の処刑器具なのだろうかと思っていたのだが、あれが新しい結界であったらしい。サードが「なるほど」と、ようやく腑に落ちたような顔をすると、スミラギが僅かに目を細めた。

「強化結界の実験があると招待され、私は初めて半悪魔の研究を知らされたのですが、あなた達が驚きもせず、仲間の死に様を見守っている光景は気味が悪く、支部での分析は手伝うが二度と招待しないで頂きたいと上司を脅迫――いえ、平和的な交渉をしたくらいです」
「今、脅迫って言ったよな? 俺の聞き間違いじゃねぇよな? というか俺たちは道具でしかないんだから、『死ぬのが早いも遅いも変わらない』んだよ。それに、あの頃に生き残っていた連中は皆、五感をいじられた後だったし」

 サードたちの五感は、元々は人間と同じだった。幼少の頃の実験はまるで拷問であったため、あまりの痛みに発狂しショック死する子供も沢山いた。ようやく大人の半分に背が届いた頃、一定値をクリアした少年たちから順に、痛覚を制限する手術が行われたのである。
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