最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
本来の五感の一部を失くしてしまったことを、惜しく思っている自分がいるような気もするのだ。生憎、胸がすくようなこの感覚が、どんな想いや感情なのかは理解出来ないだけに少しどかしくも思う。
兵器である自分とは違って、温かさや、言葉にならない何かを知っているらしい『人間』に尋ねれば、答えが分かるだろうか?
ちらりと隣のソーマを盗み見ると、すぐに視線が絡んだ。どうやら彼は、ずっとこちらを見ていたらしい。
「なぁ、書記」
レオンとユーリスの視線を横顔に感じながら、サードは小さく口を開いて声を掛けてみた。
そうしたらソーマが、目尻に薄い皺を浮かべるみたいに目を細めて、何かをこらえるような声で「なに?」と問い返してきた。質問してもいいみたいだと思って、サードは「うん」と答えてからこう言った。
「痛覚が制限されているとさ。腹に穴が開こうが、全身の骨が折れようが動けるし、毎日の実験とか手術の痛みも気にならなくて楽だった。仲間たちが声を揃えて『痛みが鈍くなってくれて本当に良かったね』って言ってたけど、俺は胸のあたりが涼しいような感じがして、そこに加われなかったんだ。――これって『人間』でいうところの、どういう感情なのか分かるか?」
兵器である自分とは違って、温かさや、言葉にならない何かを知っているらしい『人間』に尋ねれば、答えが分かるだろうか?
ちらりと隣のソーマを盗み見ると、すぐに視線が絡んだ。どうやら彼は、ずっとこちらを見ていたらしい。
「なぁ、書記」
レオンとユーリスの視線を横顔に感じながら、サードは小さく口を開いて声を掛けてみた。
そうしたらソーマが、目尻に薄い皺を浮かべるみたいに目を細めて、何かをこらえるような声で「なに?」と問い返してきた。質問してもいいみたいだと思って、サードは「うん」と答えてからこう言った。
「痛覚が制限されているとさ。腹に穴が開こうが、全身の骨が折れようが動けるし、毎日の実験とか手術の痛みも気にならなくて楽だった。仲間たちが声を揃えて『痛みが鈍くなってくれて本当に良かったね』って言ってたけど、俺は胸のあたりが涼しいような感じがして、そこに加われなかったんだ。――これって『人間』でいうところの、どういう感情なのか分かるか?」