最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 扉を開けた人物を見て、サードは「は?」と呆けた声を上げてしまった。それは大きな体格に、やや膨れた腹部を持ったトム・サリファンだったのだ。

 小難しい顔に深く刻まれた皺、白髪まじりのハニー・ブラウンの髪。引き結ばれた薄い唇の上には膨らんだ鼻があり、目が合った途端、彼の茶色い双眼がこちらを向いたまま大きく見開かれた。

 サードは、状況を理解するのに時間を要した。まるで信じられないものを見るようなトム・サリファンと、たっぷり十秒以上は見つめ合っていた。

「え。なんでトム・サリファンがここにいんの?」

 思案するような沈黙の後、思わず疑問が口からこぼれ落ちた。ここは孤島にある学園のはずだ。それなのに、どうしてトム・サリファンがいるのだろうか?

 そこでようやく、サードは意識を失う直前の事を思い出した。悪魔を倒した後、一体どうなったのだろうか。それに、どうして死んだはずの自分が、ベッドに横になっているのだろうか?
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