最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 スミラギが「いいでしょう」と頷き、思い切り鼻をかんだ隣のトム・サリファンを煩そうに一瞥してから、こちらへと目を戻して説明した。

「悪魔が消失した件に関しては、王宮魔術師の方でも改めて事実確認されました。学園は一日かけて大規模な魔術修復が行われ、理事長が約束させた通り、元通り細部に至るまで修復が完了しました。学園は一日の休校を挟んで、翌日から通常通り授業が再開しています」
「はぁ。呆気ないほど混乱がないなぁ」
「あなたの理解力と発想力は、相変わらず単純で低すぎます。大変混乱状態に陥りました」

 軽く罵倒されたサードは、スミラギの機嫌が悪い事を知って口を閉ざした。

 何事か思い出したのか、トム・サリファンがハンカチを顔に押し当てたかと思うと、またしても咽び泣きし初めてしまった。布越しにもれる何事かの叫びが、なんだか邪魔というか鬱陶しい。

 サードは、この状況に顔を覆いたくなった。しかし、腕を上げようとしたら身体がビキリと軋み、もう全てを諦める事にしてスミラギの話を聞いた。
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