最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 この部屋がある廊下は、現在立ち入りが制限されている。今まさに、廊下の入口に立つ守衛を、風紀委員会の部員が二人一組で正面から見張っている状況であるのだとか。

「何やってんだあいつら」
「私が知るわけがないでしょう。なぜ部屋でなく、守衛を見張るのですか?」
「いやいやいや、俺に訊くなよ」

 サードは、レオンに間髪いれず言い返した。

 なぜ風紀部員たちが、そのような結論に達したのか分からない。睨みつけられるように始終見張られては、守衛も大変困っている事だろう。

 その光景を想像して「なんだかなぁ」と呟いた。自分達の仕事をしているだけの衛兵を思い浮かべて「迷惑かけてごめん」と思っていると、レオンが鼻を慣らして腰に手をあてた。

「そういう事ですので、とっとと復帰されてください。それに風紀委員会で回らなかった分の書類がうちに回ってきて、そちらについても大変迷惑しています」
「……あのさ、俺、見ての通りこんな状況じゃん? 仕事の件に関してはさ、風紀委員長の座を誰かに交代してくれれば、問題ない話だったんじゃねぇかなって思うんだけど」
「引き続き『あなた』が風紀委員長であると、理事長と全生徒、全教師の話し合いで決定しています。諦めなさい」

 チクショー、どれだけ俺の事が嫌いなんだこの辛辣眼鏡は。

 ズバズバと言い聞かされたサードは、頭を抱えたくなった。しかし、悪魔との戦いの中で、彼がそこまで自分を嫌っていないと気付かされた事も思い出していた。
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