最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 太陽の日射しを知らない白過ぎる肌、色素の抜け落ちた銀色の髪。その少年の赤い瞳は、育った薄暗く血生臭い環境を思わせない、どこか無邪気な輝きも宿っており、それを環境牢屋の外にいた大人たちが威圧的に睨みつけていた。

「お前は、悪魔を殺すべくマーシャが命を掛けて産み落とした『半悪魔』であり、自分が兵器であることを忘れるな」
「悪魔の血液を媒介に生まれたお前の身体は、十八までは生きられないだろう。身体の半分を占める悪魔細胞は、人間の細胞組織を巻き込んで、通常の数十倍の速さで分裂と再生を続けている」
「我々は、この日のために多くの子供と大人を犠牲にしてきた。失敗は許されないぞ」

 死刑者が、国王の指示で次々と地下施設へ送られ、それを半悪魔として生み出された少年たちが戦闘実験で殺してきた。研究機関は強い半悪魔体を選別するため、実験体同士でも常に殺し合いをさせていた。

 そうして残った、たった一人の半悪魔体の少年。
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