最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
「『月食』についてですが、もしかしたら、今月内には起こるのではと報告がありました」
「へぇ、そりゃ有り難い」

 思わずそう呟いたら、スミラギが鋭利な瞳を向けてきた。尋問するみたいな鋭い眼差しを受けて、サードは咄嗟に口をつぐんでしまう。

 最近になって、予想よりも早く、自分でも急速だと思うくらいに身体のガタが進んでいることを実感していた。定期的に行われている研究員たちによる簡単な検診で、年明けに「恐らく年内いっぱいでは……」とも言われていた。

 しかし、その新しい余命推測については、正確な結果が知れる詳細診断まで教えてダメだよ、と口止めされてもいたのだ。

 悪魔は年内に現れるとほぼ確定しているのに、来年までの寿命が今年いっぱいになったからって、それの何がダメなんだ?

 自分の役目は悪魔を殺して、そして最後の半悪魔体として共に死を迎えることだ。十八まで生きられるはずの身体が、十七までになったと言ったところで、大差ないように思える。
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