最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 嫌われていることは理解しているつもりだが、相槌の言葉一つ返すたびに説教を追加された。もう口を閉じているしかなかったサードは、話を聞いて、風紀部員の会話を偶然ロイが拾い上げた結果、レオンがここに寄越されたのだと知った。

 それは風紀委員会が、人員不足なのを見越しての協力だとは煩い説教でなんとなく分かった。とはいえ、だからと言って、この状況に納得が出来るはずもない。

 これは確実に人選ミスであるし、正直、この組み合わせはないと思う。

 サードは横顔で説教を聞きながら、冷静沈着でクールな風紀委員長という顔面設定が、精神力の消耗により早々に崩壊してしまいそうな気がした。

「そういえば、警備の日程が詰まっているように見受けられましたが、あなた自身の健康診断はどうなっているのです?」
「隙を見計らって、他の生徒と同じところで受けるから問題ない」

 サードは、目の前の広々とした三階フロアの廊下に視線を向けたまま、しれっと答えた。

 そうしたら、レオンが秀麗な眉を強く寄せた。
< 59 / 345 >

この作品をシェア

pagetop