最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
「じゃッ、俺は次の場所に移動するから、後はよろしく!」

 サードは風紀委員長らしい真面目な表情を作ると、威厳たっぷりに言った直後、素早く踵を返して駆け出した。後方からレオンの非難の声が聞こえてきたが、無視して全速力で廊下を走り抜け、三学年の検査が始まっている階下の大広間へ向かった。

 そこの扉前を担当していた三学年の風紀部員が、物凄いスピードでやって来る風紀委員長に気付いて驚きの目をした。サードは到着するなり、唇に人差し指を立て、室内をそっと覗き込んで進行具合を窺った。

 扉が解放されたままの大広間には、カーテン台の設置された各検査場が設けられていた。手に健診票を持った学生たちが、のんびりとした足取りでそれぞれ必要な検査を受けている。

「何か問題はあったか?」
「あ、いえ、何も。室内に六人の部員がいますが、落ち着き次第、順番に検診を受けてくる予定です」

 警備にあたっていた風紀部員の返答を聞いて、サードは「そうか」と相槌を打って彼の隣に並んだ。
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