最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 同性の検診会場への乱入者など、まるで考えられないことなのだが、それが実際に起こってしまうのがこの学園である。それはそれで嫌だなぁ、と風紀を担う者として後ろ手を組んで、警備にあたりながら遠い目をしてしまった。

「あの、委員長はいつ検診を……?」
「俺は役職持ちの生徒会と同じだから、気にするな」

 用意していた台詞を答えながら、サードは複雑な心境になった。

 この立ち位置はすごく疲れるな、と思った。もし仲が良い他の生徒同士であったなら、返答の相違に気付いて簡単にばれてしまう嘘である。

 しばらく待機していたところだ、サードは気の許せる部員の隣ともあって、思わず堪え切れず欠伸をこぼした。

 昨日は、夜中の発作で二回目が覚めてしまっていた。それに加えて、先程のレオンのせいで顔面筋と精神的な消耗も激しく、違反行為を起こした人間が出たとしたら、ストレスで即叩き潰す自信がある。

 ストレスと言えば、仔猫には癒されたなぁ……と、サードは改めて思い返した。学生生活に終止符を打つべく『月食』には早めにやって来てもらいたいが、もう少しだけ、あの小さくて柔らかい生き物を愛でたいような気はする。
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