最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
           ◇◇◇

 生徒会や風紀委員会の各役職持ちは、成績が優秀であれば授業の出席も免除される。貴族としては生徒同士の交流を持った方が、将来に役立つとして、役職持ちの生徒たちもある程度は教室へ顔を出して授業を受けた。

 けれどサードは、入学初日に風紀委員長に就任して以降は、教室に足を運んだことはなかった。

 普段から校内の見回りの他は、風紀委員会室に居座り、書類業務を行っていた。風紀委員会が歴代最少人数となっている今、やるべき仕事は山のようにある。

 昨日の健康診断も、大きな問題もなく無事に終わっていた。今日は朝から通常授業が開始されており、生徒がいる教室以外は静かなものだ。

 休憩がてら見回りもかねて部屋の外に出ようと思い立ち、サードは書類業務を進めていた手を止めた。ふと、またあの仔猫に会えるかもしれないという期待が脳裏を掠めて、真っすぐ校舎裏へと向かった。

 校舎裏は、相変わらず静かなもので仔猫の姿もなかった。
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