最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 そんな中、風紀委員会のトップの指名については、学園の風紀維持を平等にするため理事長が独断で行うという決まりがあった。部員についても、全て学園の大人側で指名がされた。

 現在、二学年生となった『次期皇帝』の生徒会長と同じく、風紀委員長も二学年生に所属している。これまで貴族の入学しかなかった学園で、拾われた元戦闘用奴隷という経歴を持った、前代未聞の異例の特待生である。

 そんなわけで、入学早々から風紀委員長となってしまった『サード・サリファン』は、今、必要書類を抱えながら、足早に風紀委員会室へと向かっていた。

 地下の実験施設から『上』へと出て、一年と少しが経った。

 サード、と呼ばれ慣れ始めているものの、学生を演じることについては我慢の限界を覚えてもいた。周りから感じる煩わしいほどの疑心暗鬼と嫉妬の眼差しに、『お堅い風紀委員長』の設定を守って顔が引き攣らないよう気を張る日々だ。

 自分の悪評については、耳に痛いくらい聞いてきた。けれど正体を隠すためとはいえ、この設定はどうだろうか、と入学当初から思うところもあって頭を抱えてもいる。
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