最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 五歳の頃に、サリファン子爵に救済された元戦闘用奴隷。身体能力と頭脳の高さから学園への入学が認められ、サリファン子爵に与えられた深い愛情の恩を返すべく、誇り高い学生生活に励んでいる――と、いうことになっている。

 元々貴族ではなく、奴隷。
 その設定部分が引っ掛かって、学園に溶け込むどころか、かなり怨みを買う存在として目立っているのを実感していた。

 とはいえ、サードは十六歳まで、地上のほとんどを知らなかった。おかげで話すと、一般教養の不足やらでボロが出る可能性を指摘されていた。嫌われ怨みを買うことで親しい者を作れないようにする、ということも『この設定』には含まれている。

 サードとしても、ボロを出さないよう親しい人間を作るつもりはない。尚且つ、風紀委員長という立場は『外』と連絡が取り易く、どの生徒よりも時間を自由に出来るという利点もあったのだが……、心休まる場所がないのは問題だった。

 風紀委員長は授業への参加が免除されており、地下の実験施設にいた時に比べたら「自由万歳!」という立場ではある。しかし、風紀としての書類業務が多すぎるうえ、ストレスの溜まり具合が半端ではないのだ。
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