最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 ロイと入れ違うようにして、理事長が舞台を降りてやってきた。通り過ぎる直前、こちらを見て足を止める。何か知らせでもあるのだろうかとサードは構えたが、理事長はしばらく無表情で口も開かなかった。

 理事長が用件もなく立ち止まることがないのは、ここ一年と少しの付き合いで分かっている。首を傾げたサードは、自分の方から尋ねてみることにした。

「なんでしょうか、理事長?」
「新しく始めた『業務休憩』は、業務の一つとして取り入れている。昼食休憩後の『昼休憩』、授業後の『午後休憩』共に、きちんと日報にも記す義務が発生することは、理解できていると思うが」
「はぁ。日報にも記しましたが、何か不備でも――」
「以前から指摘しているが、あれは業務記録であって日報にはならない。お前は引き続き職務報告書を担当し、日報に関しては、日記形式で構わないと副委員長に伝えて、今日からすぐ彼に実行させなさい」

 日報は、業務終了後、理事長室のポストに投函しなければならないものである。難しいものではないのことを考えながら、サードは「了解です」と答えた。
< 91 / 345 >

この作品をシェア

pagetop