最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 リューが、歩きながら器用に箱の中身を確認してそう言った。彼は応接用テーブルに菓子箱を置くと、中身を見せるように箱を開いて見せた。ケーキの大箱を受け取った他の部員たちも、次々にテーブルへ箱を並べ置いて広げ始める。

 守衛が立ち去った後、しばし一同はテーブルに並んだ大量のケーキを眺めた。二十八人分のケーキでテーブルが埋まる光景は、物珍しくもあり圧巻でもある。

「うわぁ、理事長も凝ってんなぁ……ホールじゃないところがすげぇ」
「なにコレ」
「何って、見ての通りチーズケーキっすよ、委員長」
「口が滑った。あれだろ、『チーズケーキ』だろ。うん、知ってた」
「俺ら大人数なのに、きっちり皆分あるところがすごいですよね……」
「俺ら役職持ちでもない平部員だけど、こんな良待遇でいいんすかね」
「いいんじゃね? ケーキ食って珈琲とか紅茶飲んで、一時間は仕事するなっていうのが今回の理事長の命令なんだし」

 風紀委員長、風紀副委員長を含めて全二十八人の少年たちが、同じ部屋で飲み食いするためは椅子が足りない。初めて業務休憩が行われた際、サードが床に座ったのをきっかけに円陣をかくように胡坐をかいて食するスタイルが出来ていた。
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