祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 私たち二人が話ながら戻れば野営での夕飯の準備は調い、皆あかあかと燃える焚き火を囲んで和気あいあいと食べていた。なんなら、早い人はもう食べ終わって片付けをしているようだ。

「そうなんですか……団長って頼りになるからいろんな人から頼られて、本当に大変ですね。あ。団長って、今どこに居ます?」

 この旅が始まってまだ数日だけど、私は優しくて話し上手な団長の若い頃の武勇伝を聞きつつ、夕食を取るのが恒例になっていた。

 昨日の話の続きが聞きたいし、何処だろうと私が周囲を見回せば、副団長はなんでもないことのように言った。

「団長なら……先ほどの戦闘でエセルバード様を庇って、脇腹を魔物に噛まれましてね。川に傷を洗いに行くと言っていました」

「え……王子って、寝ている間にここに置いて行ったら駄目ですか?」

 エセルバードの支度待ちの朝があるくらいだから、やろうと思ったら出来るはず。

「私もそうしたいのはやまやまなんですけど、何分あれでも一応我が国の王族ですので……」

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