祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 あの団長が居なくても、この息子が居れば大丈夫だろうと、のんびりムードを完全に取り戻してしまっている。うん……いや別に本人なんだから、何の問題もないけどね。

 ジュリアスは現在責任ある団長職ではないので、私と共に居ることが多くなった。今までのように距離を取った関係性ではなく、気軽に話せる同世代みたいに。

 馬車に揺られて、楽な行程は進む。今は予定通りの進行で、魔物が完全復活を遂げるまでには無理なく間に合いそうだ。

「……ジュリアスは、私のことを聖女様と呼びますよね?」

「ええ……そうですね」

 世間話の合間にふと気になって聞いてみれば、彼は馬車の向かいの席で困った顔をしていた。

「それって、どうしてですか?」

「……聖女様は元の世界に帰られます。僕はこれが、四回目になります。あまり親しくし過ぎると、後で別れが辛いので」

「……もしかして、これまでの聖女と恋に落ちたことが?」

「ないです」

 ドキドキしつつ聞けばジュリアスが即答したので、ほっと安心した。いえ。彼だって良い年齢なのだから、なんかしらの恋愛経験はあるだろうけど……詳しく聞きたい訳でもない。

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