祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
 子どもを叱るような口調に、私は思わず息をのんだ。

 そうだった……聖女が居ないと、倒すべき魔物に攻撃が通らなくなるんだよね。楽過ぎるし世界が滅びるかもっていう緊迫感は一切ないけど、これは救世の旅で……危機感がなさすぎると言われても無理はない。

「ごめんなさい。すぐに戻ります」

 私は慌てて立ち上がろうと思ったんだけど、ジュリアスは逆に私の隣に座って「なんで?」と固まってしまった。

「……僕は聖女様を、避けていた訳ではないですよ」

 さっきのハミルトンさんは、私の言ったことをそのままこの人に伝えたみたい。恋愛相談には向かない人であることは、よくよく理解した。

「……目に見えて、私を避けていたと思いますけど?」

 拗ねたように私が言えば、ジュリアスは首を横に振った。

「いえ。聖女様に祝福を与えて貰った後から、力が強くなったようで……少し試してみたくて、その辺の魔物を倒していました。ですが、弱くてあまり手応えがなくて……わかりにくいですね」

「……え?」

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