祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~
「単に今までの僕が衰えていただけで、若返った効果だけかもしれないので……わかりませんがね。ああ、聖女様。お願いがあるんですが」

 そう言ってすぐ近くでジュリアスは余裕を見せて微笑んだので、私は微妙な気持ちになった。なんだか、彼のことで気持ちの乱高下が激しい。

 けど、それって私だけだ。彼は人生経験豊富で多分、このこともなんとも思って居ない。

「なんですか? この救世の旅を無事に終わらせるためなら、私はなんでも協力しますよ?」

 なんたって、無事に終わらないと世界が滅びてしまう。

「ああ。ちょうど良かったです。僕にまた聖女様の『祝福』を与えてもらえないかと思っていたんで」

 言い終わってすぐに素早く唇に温かな唇が軽く触れたので、私は驚いた顔のままで固まって居た。

 真顔のジュリアスはそんな私が動き出すのをじっと待っていたのか、とても顔が近い。告白を断わろうとしている人の近さでは……ないように思うんですけど。

「……どうして?」

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