イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
「グゥッ!」

「どうしたの茉穂ちゃん!」

「古傷が痛む……うぅ」

「え!?古傷!?どこ!?」

「違うんだ、彩美……痛いのは心の方……」

「心!?」

「あぁ、過去にされたことがあったのね……」

「あれはおそろしかった……じゃんけんで買った人は麩菓子一本、負けた人は私に告白とかいうクソゲーだった……くぅっ」

「ぐっ。辛い……!麩菓子のあたりが辛い!」

 二人は何か暗い過去を思い出したのか揃って頭を抱え、苦痛に顔を歪めている。

「どうしてそんなことするんだろう」

「たぶんなーんにも考えてないのよ。あいつら私たちみたいな日陰民を人間と思ってないの。ただの暇つぶし。私たちが苦しむことをして喜ぶ人間もいるのよ」

「赤澤くんはそんなタイプに見えないよ」

「見えないだけでそうなのかもしれないよ!」

「うーん、でも罰ゲームじゃないって言ってたしなぁ」

「からかわれてるんだよ彩美。反応見て面白がってるの。ほっとこう?」

「でも……」


 嘘でもあんなにたくさん好きですって言えるものなのかなぁ。
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