イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
 まさかそんな犯人の供述みたいな返しが来ると思わない。


「先輩、押しに弱そうだから押したらワンチャンいけるかなって」

「ワンチャン……?」

「ワンチャン」


 依澄くんは真顔だ。


「えっと……っ」


 気になる点がありすぎる、一個ずつ整理しないと……。


「私が、他の男と仲良く……?」
 
「図書室でなんか仲良さそうに話してましたよね」

「?……あっ、江崎くんのこと?」


 依澄くんの目が細くなり、光が消える。

 
「名前なんか知らないです。先輩と同じ図書委員の腕章つけてたやつです」


 どうやら当たりみたいだ。

 図書委員の江崎くんは本好きで、去年も同じ図書委員だったから男の子の中ではよく話すほうではあるけど……


「えっと……普通に本の新刊の話、してただけだよ?」

「先輩」
 

 依澄くんが不機嫌を滲ませた顔をずいっと近づけた。

 
「っ、!?」


 近いっ

 図書室のときもそうだったけど、依澄くんって人との距離が極端に近いタイプ……!?

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