イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
+。:.゚ஐ



 大型商業施設が直結している駅の改札前、朝9時半。

 たくさんの人が行き交う中、私は映画のポスターが貼られた大きな柱の前に直立不動していた。

 あまりの緊張で、手が震えるほどに冷えている。

 初めての休日デート、当日。

 眼鏡を外して、コンタクトに初挑戦した。

 髪はいつものおさげをやめて、おろしてゆるく巻いたみた。

 メイクもBBクリームにパウダーをして、眉毛を整えて瞼には淡いピンクのアイシャドウをのせた。

 髪もメイクも動画サイトを参考に初めてやったから、ちゃんとできてるか不安で仕方ない。

 駅を通り過ぎていく人たちと自分を比べてみては、これでよかったのかなって自問自答する。

 いつもすっぴんのくせに、張り切りすぎ……? 引かれちゃわないかな……

 不安になってきて、買ったばかりの小花柄のワンピースの裾をギュッと掴んだ。
 

「こんにちはー。お姉さん可愛いね。一人?」

 
 私の隣にいる可愛い女の子に、男の人が声をかけた。


「スタベのフラペチーノの新作飲んだ?」

「は?」

「奢るからお茶しない?一杯だけ。お願い!」

「えー」


 わ、これ、ナンパ!?

 ひぇ、こんな近くでされてるの、はじめて見た……!

 女の子の方はあんまり乗り気じゃなさそう。

 可愛い子って大変だなぁ。

 あ、今何時だろう、そろそろ依澄くん来るかな。

 スマホを取り出そうとポシェットのチャックを開けた、その時だった。


 
「お姉さん一人?可愛いね」


 !!
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