イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
 静かに笑った男の子は、羊羹を一口で頬張ってお茶を豪快に一気飲みした。

「ごちそうさまでした……あ、結構なお手前でした?」

 彼なりに作法にならおうとしてるのが分かって、思わず笑みがこぼれた。

「よかった!」

 ちょっとは疲れ、取れたかな。

 片付けをしていると男の子が立ち上がって私の元に来た。


「俺、これからは本当に好きな人にしか好きって言わないことにする」


 その声から、強い覚悟が伝わってきた。


「いいと思います……っ」
 

 私がうんうんと頷いた時、トモちゃんの声がした。


「彩美ー!眼鏡あったよー!」

「ほんと!?」

 よかったぁ!これでやっと安心して歩ける~!

 トモちゃんは茶室の玄関で上履きを脱いで畳に上がり、それと交代で私は畳から降りた。

「ありがとうトモちゃんっ!」
 
「てか彩美、さっき校内放送でお兄さんが呼んでたよ」

「あ!後夜祭、生徒会の手伝いに行くんだった!トモちゃん、あとお願いしていい!?」

「もちろんー」

 私は急いで上履きを履いた。
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