イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
 そして、水を打ったような沈黙が訪れた。


「……え?」


 そこにキョトンとしたララちゃんの気の抜けた声がポンとのる。

 私も「え?」と声を漏らした。


「依澄が好きなの?」

「は、はいっ、好きです……!」

「え!?」

 ララちゃんが大袈裟にビックリするので、私もつられて「え!?」とビックリする。

「違います!違います!依澄じゃないです!」

 ララちゃんが慌てた様子で首を横にブンブンと振り、手も違う違うと横に振る。

「へ?」

 違うって?

「あーっ、そっちかー!どうしよう依澄!私勘違いしてた!」

「もーいいから行きなよ。大成これから部室行くって言ってたから」

 呆れた様子で依澄くんがララちゃんをシッシッとする。

「うん……!あの、先輩!本当にすみませんでした!」

 ララちゃんは私に向かって深く頭を下げると、部室棟の方へと走って行った。

「え……?あれ?」

 走り去るララちゃんはどんどん遠くなっていくけど、依澄くんは私をじっと見つめている。

「ララちゃん、どこに……?」

「大成んとこです」

「大成くん?どうして?」

「今から告白しに行くらしいです」


 !?
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