イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
 依澄くんは逃げる私の顔を嬉しそうにのぞき込んでくる。

「みっ、見ないで! もう、穴があったら入りたい……っ」

「あそこの公園にいい感じの穴がありますよ」

 依澄くんが近くの公園の、タコの形を模したトンネル穴付きの滑り台を指さした。

「あ!ほんとだ!」

 身を隠すのにうってつけな穴だ!と、私はそのタコさんの中にお邪魔してお山座りをする。

 ふぅ、と息をつくと依澄くんが隣によいしょ、と長い足を曲げて狭そうに座った。


「って依澄くんも一緒に入ったら意味ないじゃん!」


 依澄くんを追い出そうとグイグイ押すと、依澄くんは「ノリつっこみ」と笑いながら言った。


「っ、も~……っ」


 依澄くんを追い出すことは諦めて、私は自分の膝に顔をうずめた。

 もうだめ、恥ずかしすぎる、恥ずか死しちゃう……


「せーんぱい」

 
 優しく手を掬われてビクッと顔をあげると、嬉しそうに私を流し見る依澄くんがいた。

 またそれがカッコ良すぎるから、困る。


「好きです」

「っ、」

「好きです、好きです。先輩。好きです」


 依澄くんは私の方に体の向きを変えて迫ってくる。


「ひゃ、ま、依澄く……っ」

「大好きです。先輩」

「っ、わか、わかったのでっ、もう許して……!」
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